2008.04/20(Sun)
Complicate world
お話書いてみた。今回はあれだ、えーとハードボイルド?っていうんですかね。ああいうのが書きたくて書き始めたんですが、登場人物が暴走して予定よりもアホな話になったという。
まぁたまにはこんなのもいいかな、とか。
ちなみに予定ですが、これはシリーズ化する可能性がなきにしもあらず。まだどうなるかはわかりませんが。だからこの話だけで意味不明な部分はおいおいわかっていくと、思い、ます。たぶん。
そしてこの話の舞台は日本じゃありません。
というわけで限りなくアホなお話。寛大なお心の持ち主のみ続きにお進みください。
「夜とワルツを」
夜が好きだった。
すべてをつつむ闇の中でなら生きていけると思った。
――― 生きてもいいのだと、そう思った。
夜とワルツを
静寂と闇に支配された空間に男はいた。
途中で工事が打ち切りになったのか、放置されて久しい倉庫の中で男は何をするでもなく立っている。
手持ち無沙汰な様子で、けれど綺麗に背筋を伸ばしたまま無人の倉庫にいる彼は妙に堂々として、一種独特な雰囲気をまとっていた。ひんやりと他を排斥するような静寂と闇にこの男は歓迎されているようで、むしろ彼自身が静寂と闇の混ざり合うこの空間から生まれ出でたようなそんな錯覚さえ覚える。
するりと男の手が動いて何かを取り出した。数秒それに眼を落とし、またもとの場所に直す。
短く息を吐いた。
その時だった。コツコツと硬いものがコンクリートにぶつかる音。暗い、一筋の光さえ差さない倉庫の中をためらうでもなく一直線に誰かが歩いてくる。男は身動きひとつしなかった。
「また遅刻かこの微生物類似野郎」
ひやりとこの静寂にも似た冷たい声で男は後ろの影に言い放つ。
ぴたり、と影の足が止まった。
「悪い。だがオレは微生物じゃない。見ろ。顕微鏡がなくても見える」
「顕微鏡がどうとかいう問題ではない。実際ミジンコは肉眼で見えるだろう」
「……たしかに。じゃあオレはミジンコに近いということか」
なぜか納得した様子の影に、溜息をついて向き直った。
時々、本気でこいつは馬鹿だと思うときがある。
そして影もやっと本来の目的を思い出したのか、ちらりと視線を暗い床に走らせる。
「5人、か?」
「6人だ。向こうの器材の陰に一匹」
すらりと立った男の半径3メートル内の床に闇に染まった塊がある。
この暗闇で難なく影はその塊の数を当ててみせた。
「話し合いは決裂。……というか最初からゼロを殺すつもりだったわけか」
「そうらしい。たった6人で、とは笑わせる」
見くびられたものだ、と男は言う。
嘲笑のにじんだ声だった。
「ユダのほうはどうだ」
ユダ、と呼ばれた影は小さく肩をすくめたようだった。
「下っ端も下っ端。メダカが3匹。一瞬で片付いた。完璧、オレのほうは囮だ」
雑魚が3匹、と言いたいのだろうと男はすぐに理解し、そんな自分に舌打ちした。
「……くだらん。帰る」
「報告は?」
「こんなお遊びの報告なんて明日でもいいだろ」
ユダは短く苦笑した。
「ま、それはそうだ。だが死体転がしとく訳にはいかないし、電話だけはするぜ?」
「任せる」
にべもない返答に再び苦笑して、迷いなく出口に向かう男の後に続く。
数歩歩いて、ふと男は振り向いた。
「死体につまづいて転ぶなよ」
倉庫の扉に手をかけつつ言われた言葉に、ユダは微妙な顔をした。
「それは、なんだ……オレを馬鹿にしてるのか?」
「ああ」
倉庫から出て再び歩きはじめる。
「そこは普通否定するところじゃ……」
「”普通”という言葉ほど曖昧なものはない。何を持って普通とするのか。ぜひ聞かせてほしいな」
「普通、というのはだな、統計学的に高い数値を得た結果のことで、こう言ったらああ言う。あの行動をされたらああ返す。というような広く一般に通じ一種パターン化された……あーもうまどろっこしいな!よし、わかりやすく証明してやる。いいか今からオレがある単語を言うから、ゼロも何か単語を返せよ。ちなみに合言葉だ」
「ああ」
「よし、いくぞ。――― 山」
「エベレスト」
「誰が連想ゲームをしろと言った!山と言ったら川しかないだろ!」
「……。なぜユダが日本の伝統的な合言葉を知っているのか不思議だ。まさか実は日本人だったのか?」
「そんなわけあるか。あーなんかもうどうでもいいわ」
「さっきの質問が”普通”の定義についてどう関係があったのか。やはりボルボックスの言うことは理解できん」
「だれがボルボックスだ。可愛い微生物の名前出して褒めてるつもりか」
「……俺はおまえほど不可思議な生き物を見たことが無い」
「その台詞そのままお前に返す」
2つの影の不毛な言い合いは延々と続き、やがて夜の闇の中に消えていった。
まぁたまにはこんなのもいいかな、とか。
ちなみに予定ですが、これはシリーズ化する可能性がなきにしもあらず。まだどうなるかはわかりませんが。だからこの話だけで意味不明な部分はおいおいわかっていくと、思い、ます。たぶん。
そしてこの話の舞台は日本じゃありません。
というわけで限りなくアホなお話。寛大なお心の持ち主のみ続きにお進みください。
「夜とワルツを」
【More・・・】
夜が好きだった。
すべてをつつむ闇の中でなら生きていけると思った。
――― 生きてもいいのだと、そう思った。
夜とワルツを
静寂と闇に支配された空間に男はいた。
途中で工事が打ち切りになったのか、放置されて久しい倉庫の中で男は何をするでもなく立っている。
手持ち無沙汰な様子で、けれど綺麗に背筋を伸ばしたまま無人の倉庫にいる彼は妙に堂々として、一種独特な雰囲気をまとっていた。ひんやりと他を排斥するような静寂と闇にこの男は歓迎されているようで、むしろ彼自身が静寂と闇の混ざり合うこの空間から生まれ出でたようなそんな錯覚さえ覚える。
するりと男の手が動いて何かを取り出した。数秒それに眼を落とし、またもとの場所に直す。
短く息を吐いた。
その時だった。コツコツと硬いものがコンクリートにぶつかる音。暗い、一筋の光さえ差さない倉庫の中をためらうでもなく一直線に誰かが歩いてくる。男は身動きひとつしなかった。
「また遅刻かこの微生物類似野郎」
ひやりとこの静寂にも似た冷たい声で男は後ろの影に言い放つ。
ぴたり、と影の足が止まった。
「悪い。だがオレは微生物じゃない。見ろ。顕微鏡がなくても見える」
「顕微鏡がどうとかいう問題ではない。実際ミジンコは肉眼で見えるだろう」
「……たしかに。じゃあオレはミジンコに近いということか」
なぜか納得した様子の影に、溜息をついて向き直った。
時々、本気でこいつは馬鹿だと思うときがある。
そして影もやっと本来の目的を思い出したのか、ちらりと視線を暗い床に走らせる。
「5人、か?」
「6人だ。向こうの器材の陰に一匹」
すらりと立った男の半径3メートル内の床に闇に染まった塊がある。
この暗闇で難なく影はその塊の数を当ててみせた。
「話し合いは決裂。……というか最初からゼロを殺すつもりだったわけか」
「そうらしい。たった6人で、とは笑わせる」
見くびられたものだ、と男は言う。
嘲笑のにじんだ声だった。
「ユダのほうはどうだ」
ユダ、と呼ばれた影は小さく肩をすくめたようだった。
「下っ端も下っ端。メダカが3匹。一瞬で片付いた。完璧、オレのほうは囮だ」
雑魚が3匹、と言いたいのだろうと男はすぐに理解し、そんな自分に舌打ちした。
「……くだらん。帰る」
「報告は?」
「こんなお遊びの報告なんて明日でもいいだろ」
ユダは短く苦笑した。
「ま、それはそうだ。だが死体転がしとく訳にはいかないし、電話だけはするぜ?」
「任せる」
にべもない返答に再び苦笑して、迷いなく出口に向かう男の後に続く。
数歩歩いて、ふと男は振り向いた。
「死体につまづいて転ぶなよ」
倉庫の扉に手をかけつつ言われた言葉に、ユダは微妙な顔をした。
「それは、なんだ……オレを馬鹿にしてるのか?」
「ああ」
倉庫から出て再び歩きはじめる。
「そこは普通否定するところじゃ……」
「”普通”という言葉ほど曖昧なものはない。何を持って普通とするのか。ぜひ聞かせてほしいな」
「普通、というのはだな、統計学的に高い数値を得た結果のことで、こう言ったらああ言う。あの行動をされたらああ返す。というような広く一般に通じ一種パターン化された……あーもうまどろっこしいな!よし、わかりやすく証明してやる。いいか今からオレがある単語を言うから、ゼロも何か単語を返せよ。ちなみに合言葉だ」
「ああ」
「よし、いくぞ。――― 山」
「エベレスト」
「誰が連想ゲームをしろと言った!山と言ったら川しかないだろ!」
「……。なぜユダが日本の伝統的な合言葉を知っているのか不思議だ。まさか実は日本人だったのか?」
「そんなわけあるか。あーなんかもうどうでもいいわ」
「さっきの質問が”普通”の定義についてどう関係があったのか。やはりボルボックスの言うことは理解できん」
「だれがボルボックスだ。可愛い微生物の名前出して褒めてるつもりか」
「……俺はおまえほど不可思議な生き物を見たことが無い」
「その台詞そのままお前に返す」
2つの影の不毛な言い合いは延々と続き、やがて夜の闇の中に消えていった。
●
おもしろーい。キャラがいい。ぜひ続きを書いてほしい。
小竜龍美 | 2008.06.14(土) 23:05 | URL | コメント編集
●小竜龍美様にお返事
初めまして。コメントありがとうございますっ>д<ゝ
おもしろいと言っていただけて光栄です!
読んでくださる方の感想はやはり気になるものなので、こういうコメントはとてもうれしいです。
最近は時間的に小説を書く暇もなかなか無い状況なので、いつになるかわかりませんが、続きはまた書いて載せたいと思いますv
ありがとうございました。
おもしろいと言っていただけて光栄です!
読んでくださる方の感想はやはり気になるものなので、こういうコメントはとてもうれしいです。
最近は時間的に小説を書く暇もなかなか無い状況なので、いつになるかわかりませんが、続きはまた書いて載せたいと思いますv
ありがとうございました。
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